睡眠時無呼吸症候群

 

「睡眠時無呼吸症候群」とは、眠っている間に呼吸が止まり、大きないびきを繰り返す病気です。

健康と思われている成人の中にも数多く潜在しており、高血圧や心疾患などの生活習慣病や夜間突然死との
関連性も指摘されており、睡眠不足による昼間の眠気により労働災害や交通事故を起こしたりすることが
問題視されています。

しかし治療方法が確立されていますので、適切な検査・治療を行えば決して怖い病気ではありません。
「日中に強い眠気を感じる」、「習慣性の強いいびき」、「夜中に何度も目が覚める」、「目覚めたときに頭痛がある」等思い当たる方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
早急に検査をお受けになることをお勧めすます。

睡眠時無呼吸症候群の方は、健康な方と比較して

・高血圧症は2倍
・狭心症、心筋梗塞は3倍
・脳血管障害は4倍
・糖尿病は1.5倍

発症すると報告されており、脂質異常症や痛風を合併する確率も高いことが明らかになっています。
米国では、睡眠1時間で20回以上無呼吸が記録された患者さんを無治療のまま放置すると、
9年後には約40%の方が心臓病、脳血管障害、交通事故などで亡くなったという衝撃的な報告もあります。

当院では睡眠時のいびきおよび無呼吸を指摘され来院された患者さんに問診および診察を行った後、
自宅で携帯用の簡便な睡眠ポリグラフ装置(フクダ電子製:約70グラム)装着し、自宅で眠っている間に睡眠時無呼吸症候群の検査ができます。
写真と図1の様に鼻の下と一本の指にセンサ-を付けるだけでとても簡単に診断できます。

 

睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、その治療はどうなるのでしょうか。
本疾患のほとんどは、閉塞型と言われるタイプです。
肥満体で首が短く、扁桃腺が大きく眠っている間に舌根が沈下して上気道が狭くなり、
首を絞められた状態になります。

治療の第一歩は減量です。
次に患者さんによっては扁桃腺の摘出、睡眠時にマウスピ-ス等を装着する方法がありますが、
現在多くの患者さんが行っている治療法はCPAP(シ-パップ:経鼻持続陽圧呼吸療法)です
図2に示したように鼻にマスクを装着し、圧力をかけた空気を鼻から持続的に上気道に送り込み、
上気道を押し広げ閉塞を防ぐというものです。
CPAPは保険適応にもなっており、患者さんの睡眠や生活の質を改善し交通災害などの社会生活に及ぼす悪影響を防止し、健康を取り戻すための治療法です。